こんばんは。きなこ屋です。
先日10/18(土)、東京は秋葉原にてパズル界の大イベントが開かれました。
あらゆるパズル愛好の士が一堂に会する即売会、パズル祭です。
matsuri.logicpuzzle.app
これは、何も知らないシャカシャカ狂が1人で徒手空拳でブース出展に臨んだ記録です。
自分含め、次回出展を考えている方々の為の備忘録になりますよう。
準備期間
8/3 始まり
都内某所にて開かれた豪華ラウンド制パズル大会、Puzzle Assort Contest。
元々きなこ屋はパズル界に在って何故かシャカシャカ以外解けない自信がございます。にも関わらずかつてない規模・難易度の大会に生身の拳一つで挑み、当然楽しく粉砕されたきなこ屋はその晩、懇親会の席に杯を呷っておりました。
偉大なる作問者の面々に圧倒されつつ、「せめてシャカシャカラウンドがあれば...」「何なら作問にも興味がある」と漏らしていたところ。
「そんな貴方にお誂え向きのイベントが!」
と、パズル界の地面師殿の貴重なお誘いを頂戴しました。
聞けば某有明会の如く、パズルを愛する者が集っては豪奢の限りを尽くす一世一代のイベントであるとのこと。即ちこれに作問者として出展し、在らん限りのシャカシャカを投げ売るべし、と!
なんたる好機、そして出展期限は翌週8/9に迫っています。しかしながら文化祭等とは異なり、個人での出展になることは必至。それに何をどう頒布するのか、果たして出展して良いものか、期限直前まで躊躇に躊躇を重ねました。
決め手になったのは、申込期限前日のこちらの告知。
乗り掛かった船ならば同じ舵を握るもの。締切6時間前に小匙ばかりの勇気をもって申込フォームを恐る恐る送信しました。
なお、この時点では本当に何も決まっておりません。誰が・何人で・何を・売る/見せるのか神のみぞ知るばかりです。唯一必要になる団体名「きなこ屋本舗」は20秒で浮かんだ仮称でした。
後に、雲を掴むまま滑り込みで応募したのが1人ではないと知り胸を撫で下ろします。
8/19 概形を作る
出展を決めた挑戦者たちは、1月以内に運営に必要な諸々を提出していきます。ここで予め決めておく事項は、
- イベント型orブース型(頒布/企画) → ブース(頒布)
- 企画概要説明文 → 「食べきれないほどのシャカシャカを召し上がれ!」
- 運営人数 → 1名
- 無料/有料 → 検討中
- 机・電源の使用数 → 机1/2、タップ無し
等です。
きなこ屋は長机を拠点に物を売るブース型・頒布で申請しました(が、実際は企画要素も含んでいたため別途運営に相談しておくのが吉でした)。もし作問大会やコンサートのようなイベント型出展を行う場合は収容人数等も細かく決めておく必要がありましたが、単にブースを借りるのみであれば「何を配るか」は未定のまま潜り抜けました。
とはいえ説明文を考えるに至って、流石にきなこ屋も出展内容のイメージを確立しつつありました。
① シャカシャカ問題集or手筋まとめ本を売る
② 来場者と速解き勝負
主にこの2本です。シャカシャカオンリーの問題集や解説は稀少性から需要があると見ました。また、しばしばペンシルパズルガチャRTAを走る身として、自分が戦う目的で速解き勝負を検討していました。きなこ屋に勝てれば①の本を贈呈or割引するのも面白そうです。(この案は倫理的側面から没になりました。)
などとアイデアを抱えたまま、日々が過ぎること光陰矢の如し。
9/26 原稿作り
おっと。瞬きする間に、開催まであと3週間まで迫っておりました。脳内に抱えたアイデアを実体化する時間です。
取り敢えず自分の経験を形に残すため、本は手筋まとめに決定しました。また、出展に③巨大シャカシャカの展示を加えることにしました。これは過去作をまとめて展示し、スペースに華やかさを醸成する目的です。
さて②速解き大会はともかく、①本を売るにはかなりの準備が必要です。最大の問題となる印刷方法に、想像以上に頭を捻ることとなりました。
まず手筋本に入れたい手筋が15種程度ありますので、少なく見て24ページは欲しいものです。加えて、運営による来場者数の推定値は150名(内出展者50名)。オンライン販売の分も見積もって50部程度用意することを考えると、家のプリンターでは荷が重いもの。必定、印刷所を利用することになります。
かつて母校の文化祭でも利用した大手印刷所を利用することにしました。但し、納期・発送を含めて発注から1週間~10日程度は見たいところ。予想以上に期限が迫っています。
原稿にトンボが必要と耳にして急遽無料体験版Photoshopを導入して苦しめられるなど試行錯誤しましたが、幸いにもWordで作成したファイルをpdf出力してそのまま入稿可能だと判明。Wordで原稿を作成することになりました。
ということで早速原稿を書い...
9/28 大阪万博

大屋根の下から
...一人旅を堪能した後は、缶詰作業です。
Windows版とMac版のWordの仕様差、標準外フォントの出力エラー等に匙を投げかけました。
そうして無事A5サイズ32ページの原稿を仕上げ、開催11日前の10/7に入稿完了と相成りました。
10/11 開催直前
開催1週間前。若干遅れ馳せながら、Twitter(旧X)で出展告知を行います。
告知内容は本家東京ビッグサイトのそれを幾つか参考にしました。ブース型出展は基本的に本家に倣えば間違いないようです。
他の出展者の皆様の準備風景を眺めていると、発注した冊子50部が早くも手元に届きました。想像以上に光沢のある紙質もあり、存外立派な出来を自負するに至りました。
そして開催は目前。流石にブースの机に冊子だけ積んでふんぞりかえる訳にもいかないので、有明大即売会レポを参考に、設営用の品々を取り揃えます。
- テーブルクロス
- 見本誌立て用イーゼル
- 展示用の金属網+スタンド
- 展示用のA4額縁
これらは100円ショップで揃えることができました。
並行して、巨大シャカシャカを急遽1問増やすことにしました。折角パズル祭の公式ロゴがあるので、巨大シャカシャカの絵にして目を惹こうという算段です。何故か128*128のフルサイズにしたこともあり、これに存外時間が掛かりました。結局完成は前日の昼までもつれ込みます。過去作をまとめるだけとは何だったのか。

[パズル祭]
奇しくもトラップは重なるもので、速解き用の問題を刷っている最中に家のプリンターがインク切れを起こしました。幸い100戦分の問題は用意できましたが、色々と印刷したい前日には致命的な障害。仕方なく一部のビラはコンビニプリントを利用することになり、想定外の出費を食らってしまいました。
諸々の不安はあれど、用意した頒布物のクオリティには悔い無し。当日朝2時に眠りにつきます。
当日
設営
10時の開場に先立ち、大荷物を携えて8時に設営開始。
先ずは全体設営の人手に加わります。寝呆け眼を擦って、机や椅子、パーテーションを移動させます。学校教室3つ分程度の広いスペースに机が並び、立食パーティーと見紛う雰囲気に。運営スタッフ方の迅速な指示により30分程で会場が整いました。
続いては個人ブースの設営です。国際展示場のそれを思い浮かべながら、長机の半分にそれらしく物品を飾って占拠していきます。無骨な机もテーブルクロス1枚でお洒落度が倍増です。
きなこ屋のスペースはちょうど背後に荷物置き棚がありました。刷ってきたA3ポスターを貼り出すのに好都合と思い問い合わせたところ、めでたく運営様から許可を頂きました。設営時に運営スタッフ方々の親身なご対応が沁みます。
新刊を積み、品書きを吊れば、9時前には準備完了です。

設営完了
色々と小物をかき集めてきたにも関わらず、肝心の値札を忘れてきたことに気づき、急遽モールと折り紙で細工を試みました(写真左下)。どういうわけかブース本体よりもこちらの制作に時間を注ぎ、気づけば開場15分前。
運営に参加費支払とスタッフ登録を済ませ、いよいよスタートです。
新刊の売れ行き
10時開場とともに来場者が雪崩れ込みます。
本ブースは一番端ではあるものの、中央のフリースペースを囲むようにブースが立ち並ぶため、順路に従って人が流れてきます。そして列が目前に至るや否や
「手筋ハンドブック下さい」
「なにぃ」
早速1部目の手筋本をお買い上げいただきました。500円玉を受け取り、新刊を手渡した瞬間の感情はいかなる珍味にも代え難いものがあります。
それも冷めやらぬまま、次の方に2部目を販売。人が来ては新刊を発見即買の連鎖が続きました。
...あれ、こんなに売れるものでしょうか?
準備中に印刷部数を考えるに際しビッグサイトパーティーの見聞録を漁っていると、初参加では20部売れれば良い方との噂を耳にしました。そのため正直に申し上げれば、50部のうち半分も捌ければ大戦果と考えておりました。
それどころではありません。10時台で既に10部以上を手渡すに至りました。売り切れペースです。内心はもはや狂喜乱舞しております。
まさかそんなにシャカシャカ愛好の士がいらっしゃるとは! シャカシャカの未来は明るい!(と喜びを露わにしながら、見開いた目で新刊を手渡していました)
結局この喜ばしいペースは終日続くことになります。
ブース管理
無謀にも1人でブースを管理するからには、あまり長く席を外すわけにもいきません。折角垂涎の傑作が所狭しと陳列されているのに、買いに行くことさえできないのでしょうか...
そんなことはなかった。
有明大祭ではしばしば目にする、お隣さんとの交流。今回きなこ屋の隣で長机を分け合ったのは、世にも名高いあのパズル部でした。
なんとも幸運なことに、朝からブースを運営されていたのは、かのノースリーの発明家様。以前きなこ屋が文化祭に闖入した際にノースリー講義を伺ったこともあり、恭しく挨拶をさせていただきました。
互いに1人体制でブースを見張る中、賑やかなステージイベントが始まろうとします。そこで、きなこ屋が両方のブースを見守ることを提案。その間にイベントを観覧いただくことができます。
そしてイベント終了後には逆にこちらのブース管理をお願いし、きなこ屋が他のブースを見て回ることができました。
本来ならば金銭管理が怖いところですが、今回は彼方の頒布物が無料配布であったこと、そして快く協力を受け入れて下さったことにより、無事共同管理ができました。
ちょうど文化祭が控えており、多忙の中にも関わらず出展して下さったとのことです。要チェック!
買い物
鉄人にブースを押し付けて、賑やかな展示場を見て回ります。
とりわけ目を引いたのが謎解き。実は近頃パズルから目を引いて謎解きチャンネルを観たり夏の間に脱出ゲームに出掛けたこともあり、謎解きへの熱が高まっておりました。
お勧めに従い、パズル要素強めの謎解きを1作購入。存外難易度が高く、執筆時点でもまだまだ楽しんでおります。
そして何より、2つ隣のブースが大人気でした。錚々たる強者が組み上げた解説付き大ボリューム問題集『ぱずがいど』が、なんとお手頃価格¥500。一際輝きを放つ傑作選に、あらゆる人が足を止めていたのが印象的でした。
もちろんきなこ屋も購入。読んで分かるその精巧さに、今まさに唸っております。なんとBooth販売もあるとのことで、是非味わいましょう。
ポスター
開催1週間前に突如加わった、A3サイズ巨大絵シャカシャカの頒布。新刊とは違い、無料配布の形式をとっています。
ところがこのポスター、問題の高い難易度と常軌を逸したマスの細かさ故に、問題として解くには相当な手腕と視力を要します。ましてシャカシャカを普段解かない層にとっては完全なる観賞用の白黒ドット絵になる可能性があります。
それゆえ、たとえ無料でも手に取ってくださる方は少数であろうと推定し、用意したのは7種類×5枚だけでした。
が、35枚のポスターは早くも午前中にあっけなく売り切れてしまいます。
何故か。
「7種類全部ください!」
「ホアッ」
「2枚ずつ!」
「ワ...ワァ...」
その名も轟く精鋭集団による有難くも予想外の一撃。なお、1枚解くには作問者でさえもWeb上で1~2時間を要します。紙面で鉛筆で解くにはおおよそ倍程度掛かります。手をつければ最後、間違いなく1日が溶けてしまいます。
更に恐怖すべきことには、この後「全部ください!」を別の方から頂戴しました。そうして12時前には、用意したポスターは全種類底をつきました。
これはいけない。急遽ブースを放り出してお隣に任せて、会場から5分ほどのコンビニで増刷を行いました。元データを持っていなかったため少々値は張りますが、無事に20枚増刷完了。
そうして増やしたポスターは、改めて14時頃に完売しました。無料を謳いながら意外にもポスターだけをお持ちいただく方は少なく、ほとんどは新刊のおまけにお渡ししました。
...当日ポスターを召し上がった各位。ご利用はどうか、どうか計画的に。
速解き勝負
さぁメインイベント。と言いつつ、きなこ屋も相当自信を持って挑んでいるためか申込は少なく、時々強者諸氏が真剣を構えて斬り込んでくるイベントとなりました。
それも初戦から早速『ぱずがいど』著者に名を連ねる名手との一戦。ガチャで用意した問題を紙に印刷し、3問1セットを鉛筆で解く形式をとりました。
が、ルールを整えていなかったのが痛恨。シャカシャカの三角形を紙に書こうとすると、①三角形を黒く塗り潰す、②三角形の輪郭だけを描く、③斜辺だけを描く、の3通りの解き方があります。もちろん①<②<③の順に早く解けるのですが、③と②で対決してしまったために公平さを欠いてしまいました。以降、きなこ屋が対戦相手の解き方に合わせる方式をとることに決定。今後速解きの際は注意するといたしましょう。
その後も、解答プロフェッショナルの偉人に次々に襲来を受け、痛くも1敗を喫しました。餅は餅屋、やはり紙面で解くスキルが未熟でございました。
そして15時台になり冊子が売り切れた頃、対戦用に用意した100問の問題が余ろうかという時、日々Twitter(旧X)で毎日投稿を解いて下さる方の挑戦を受けました。これが中々に熱が入り、イベント終了間際まで計48問の勝負を重ねました。手筋の扱いに長けている方との手合い故に最も白熱し、少しでも気を抜けば2回程僅差に追い込まれました。お陰様で売り切れ後も休まる暇がありませんでした。またやりましょう。
幕引き
全てが売り切れたブースで燃え上がるバトルに勤しむまま、気付けば17時の閉場を迎えます。
最後の来場者を見送った後は片付けの時間。全体設営の撤収が力仕事ですが、やはり機敏な誘導の下で30分ほどで原状を復帰します。
紙束が無くなって大幅に軽くなった手荷物を戦利品と共にまとめ、大団円の下にパズル祭は終了しました。
収支面では、参加費・印刷費等含めて全体で1栄一程度の黒字になりました。
その後
今回の出展物についてお知らせです。
①「シャカシャカ手筋ハンドブック」は完売のため、当日頒布した50部限定になりました。何ならうっかりラスト1部まで重鎮にお渡ししたため、きなこ屋の手元に残部がございません。
現状は増刷等の予定はございませんが、もし1件でも要望がございましたら、電子版をBoothで一般販売いたします。ご興味のある方はTwitter(旧X)DM等でご相談くださいませ。
②「巨大絵シャカシャカ」は、オンラインで公開しております。時間にご注意の上お楽しみください。
③「きなこ屋と速解き勝負」は...対面にて随時受付中です。街中できなこ屋を発見した際には、モンスターボールを構えてお気軽にご挑戦いただけると幸いです。
今回のようなシャカシャカ専門の出展はまず他所では見ない・出来ないでしょう。その点パズル祭は自分の専門を突き詰められる、月並みですが学会の如き雰囲気がありました。
パズルイベントに参加して毎回驚かされることは、普段紙面やオンラインで名前を仰ぐのみの偉人諸氏が実在するということです。その上、名作の制作背景などお話できるともなれば天にも昇る心地に。逆も然り、「毎日シャカシャカ解いてます!」等と言われた日には再度天にも昇る心地に。
パズル祭は間違いなく、名作の海に浸かりながら実在を噛み締める、最強の交流会でした! 出展者として参加できたことは人生に残る実績です。
改めまして、今回お声お掛け頂いたパズル祭運営様、イベントにてご一緒した出展者・来場者の皆様、誠にありがとうございました。
今回のパズル祭が「第1回パズル祭」になりますように。